園だより

2022.10.26

「観察」と「積み重ね」

一昨日昨日と、主体性について持論を書かせていただきました。

これらは決して「これが正解ですよ!」と言いたいのではなく、私自身の考えの過程を皆さんにお見せしているとご理解いただければと思います。
園長は毎日こんなこと考えているんだなぁ…と思っていただけたら。
何せ、子どもというのは実に不思議で、可能性の塊で、尊く愛しい存在です。
そして、大きな謎に包まれています(笑)
理解したと思ったらすぐにこちらの予想を遥かに超えてくる、すごい存在なのです。
とても理論や理屈で説明がつくものではありません。
子どもに関しては、毎日、実にたくさんの新しい発見があるのです。
思い込みは、その発見を逃してしまうのです。
思い込みは実にもったいない。

さて、この三部作?の終わりに書きたいことは、「観察」と「積み重ね」についてです。

皆さん、子育ての正解をご存じですか?
ひょっとしたら自分の子育ては間違っているんじゃないか?と不安になられたこと、ありますか?
(私は毎日不安で迷っています)
育児書やインターネット上には「正解」の名のもとに様々な手法が紹介されていますが、私の印象としては「理想はそうなんだろうけど、なんかハードル高いんだよね~」…なのです(笑)

「簡単なことですよ!しないからダメなんですよ!ただすればいいんですよ!」と言われましても~、それができないから悩んでいるんですョ~という自分がありまして(汗)
専門家の方って、理にかなっていること、正しいことを教えてくれるのですが、でも、そもそもそれがなかなかできないから悩んでいるんですよね~...というのが私の本音なのです。

そういう自分が、自分で書いた主体性の記事を読むと「この人、難しいこと言うなぁ」みたいな(笑)
それはさておき。

主体性のところで何度も書きましたが、私は園でも家庭でも「子どもに介入し過ぎない」ことを大切にしています。
言葉を変えると、「向き合い過ぎない」「完全に理解しようとしない」ことです。
だって、先にも書きましたが、子どもは大人の予想をいつも軽く超えてくるんですもの。

「向き合う」「理解する」⇒〇 「向き合わない」「理解しない」⇒×
ではなく、要はどちらにも傾き過ぎないバランス感覚が、保育や子育てには大切なのではないかと。

ズバリ言うと、子どもを躾ける、教育するのではなく、「観察」してみてはいかがでしょう?
よく観察し、観察を楽しんでみては?

子どもに近づいてみたり、離れてみたり…を毎日繰り返してみると、近いからこそ見えることと、離れてみてはじめて見えることがあることに、気づきます。
そして、子どもは(人間は)実は同じ姿をしている日は一日もなく、毎日姿を変えていることに気づくのです。
ですから、昨日までのイメージはいったん横に置いて、毎日新しい姿を見るつもりでいると楽しいかも知れません。
さて、今日はどんな姿をしているのだろうか?と。
毎日、脱皮を繰り返している…それが子どもではないでしょうか。
昨日通用した方法はもう通じないのですから、向き合い過ぎるともう分からなくなって「キーッ!」となっちゃったりして。
「こうであるはず」「こうであるべき」の概念は、子どもには通用しないのです。
右に行っても左に行ってもどこに行ってもお手上げなのであれば、これはもう居直って楽しんじゃうしかないでしょう(笑)

そうそう、躾けと言えば、「躾けは家庭では完了しない」のだと思います。
家庭や幼稚園はあくまで「土台作り」の場であり、その土台の上に家を建てるのは、子どもたち自身です。(これが主体性)
親や先生ではありません。(しつこく…主体性)
しかも、人間は自らの人生の時間をたっぷりかけて家を建てるのですから、それはもう長い目で見ていくしかないのですね。

よく、園の先生と保護者さんの間で交わされる
「園ではこんな課題があります。お家での様子はいかがですか?」
「家ではなかなかできていなくて…」
「では、こんな方法で取り組んでみたらどうでしょう?」
「やってみます…」(できるかなぁ…)
という会話。
皆さん最後までやり切れますか?
結果(成果)が出ずに、途中で挫折してしまうことありませんか?
(私はしょっちゅう)

結果(成果)は、家です。
今すぐには出ません。
と言うか、家を建てるのは子ども自身なので、それはもう子どもに任せちゃいましょう。
ですから、結果を出そうとしなくて良いのです。
今大切なのは、家を建てることではなく、土台を作ること。
ですから、結果が出ても出なくても、毎日ただただ積み重ねていくこと。
できるできないよりも、積み重ねているかいないか、これが土台作りに一番大切なことなんです。

積み重ねて積み重ねて積み重ねて…いつの間にかその土台の上に、子どもは自ら家を建てるのですから。

そう言えば、若い頃に(今でも若い!!!)仕事で、後輩の教育について先輩に言われたことがあります。

「もう何回も言ったのに、伝わりません!」
「何回言ったの?」
「4,5回です」
「じゃぁ10回言いなさい」
「10回で伝わらなかったら100回言いなさい」
「100回で伝わらなかったら1000回言いなさい」
「1000回で伝わらなかったら…」

伝わるかどうかが重要ではなく、伝え続けること。
これが「積み重ね」、土台作りですね。

あれ?
やっぱり私の言うことも難しいですかね(笑)

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