園だより

2023.05.18

自己肯定感②

(前回のつづき)

それで、私が何を言いたいのかといいますと…「子どもをほっときましょう」ということです(笑)

と、それだけ言うと語弊が生じるのですが、「何が自己肯定感を育てるのか」の前に、「何が自己肯定感の育みにストップをかけているのか」を考えたいのです。
それはズバリ!
「大人の介入」です。
もう少し丁寧に言えば、「必要以上の大人の介入」ということでしょうか。

「子どものために」と言えば聞こえは良いですが、それが本当に子どものためなのかどうか…本当は、大人自身の安心のためにしていないか?ということに意識を向けてみてはどうかと。

幼稚園にいて思うことは、子どもたちには子どもたちの思いや考えがしっかりとあるのです。
ですから、大人同士がそうであるように、子どもの思いや考えも尊重されることが大切です。
大人が願う子どもの姿に近づけようとするのではなく、子ども自身がどの方向に伸びているのかをしっかりと見極める力が、大人には必要なのです。

その力はどうやって身につくのか。
大人の思いをいったん横に置いて、子どもを「観察」する癖をつけることで、見極める力がついてくるのだと私は考えています。
何かを「させる」のではなく、何をしているのかを「観察する」こと。
そしてさらに、「観察」を楽しむこと。
人間、楽しむと、相手への思いが「減点方式」ではなく「加点方式」に変わったりもします。
そうすると、褒めどころや、褒める言葉にも深みが増してくるように思います。
何より、頭ごなしに叱る機会が減るように思いますが…いかがでしょう?

もちろん、「尊重」と「その場のルールを守る」ことにはバランスが必要です。
人間は社会の中で生きる存在ですから、「尊重」が「ルールなんて守らなくてもいい」とイコールになっては意味がありません。
そこは、経験の多い大人から経験の少ない子どもへと、時間をかけて丁寧に伝えていく必要があるでしょう。
(私の考えは、1回で伝わらないなら10回伝える、10回で伝わらないなら100回伝える…辛抱強く丁寧に伝え続けていけば、いつか必ず伝わるだろう、です)

うーん…なんだかくどくどと書いてしまいましたが…

子どもの話を聞かない親?だって、全部聞いていたら日が暮れちゃいますよ(笑)
子どもをあまり褒めない親?だって、毎日褒めていたら当たり前になってありがたみなくなっちゃいますよ(笑)
子どもを叱る親?感情的に子どもを怒る親?親は仏さまではありませんので、そりゃぁ感情的になったり怒鳴ったりしちゃうときだってあるよ。
子育てをがんばらない親?親だって忙しいし、しんどいこともたくさんあるのです。がんばれない日だっていっぱいあるよ。
などなど。
こんな悪い親のもとで育った子は、自己肯定感が育たない?
いえいえ、「介入」より「見守り」が多い方が、むしろ自己肯定感は育まれるでしょう。

子どもは子どもの社会でたくましく生きています。
大人は、助けを求められたときだけ、お手伝いすれば良いのです。
それ以外は、バレないように遠巻きから見守りましょう(笑)
寂しいですか?
うん、寂しいですね。
子どもの成長は、嬉しいと同時に寂しいのです。
いつまでも、そばにいてほしいですが、そこはまぁぐっと堪えていただいて、子どもが寝たら、寝顔を間近で見てみたり、ほっぺたぷにぷにしてみたり、ちょっとほっぺにちゅーしてみたり…しましょう(笑)

結論。
子どもは、親の見ていないところでこそ育つのです。
ですから、大人は「見て見ぬふり」。
(「見ない」と「見て見ぬふり」は大きく違います)
あとは子どもが自らたくましく、社会にもまれながら伸びていくことでしょう。
これこそが、自己肯定感が育まれる最大のポイントではないでしょうか。
少なくとも「狙って育てる」ものではないということですよね。

以上、園長の独り言でした。
お後がよろしい様で、これにて。

(おわり)

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