園だより
2020.04.24
ほな、どないせぇゆうね
「ほな、どないせぇゆうね」と歌ったのは、若かりし頃の町田康さん。
数々の賞を受賞されている小説家です。
「外出自粛」と言われ、「自粛自粛でがんばり過ぎてストレス溜めないように」と言われ、気晴らしにランニングに出れば「ランニングも外とは言え感染のリスクがある」と言われ、公園に行けば「公園でも密集したら危ない」と言われ、「必要最低限の外出」とスーパーに出かけたらそれも危険で…
思わず「ほな、どないせぇゆうね!」という気持ちにもなりますね。
コロナウイルス感染症に関する偏見や差別等のニュースが、あちらこちらから聞こえてきます。
「なんでそんな悲しいことするの?」とやりきれない気持ちになります。
でも、他人を変えることは、私たちにはできないのかも知れない。
でもでも、自分が変わることはできるし、「自分はしない」と心に決めることはできる。
「あの人は最悪な人だけど、自分はしないぞ」という比較ではなく、
ただただ、「自分はしないぞ」と。
子どもの頃から、「正しく生きなさい」「迷惑をかけないように生きなさい」「真面目に生きなさい」「常識的に生きなさい」と言われて育ちました。
「正義の味方」というフレーズに憧れた。
でもある時に、自分の正義が相手を深く傷つけてしまうという経験をしました。
それから、考えるようになった。
今まで自分が信じていたものが、よく分からなくなってしまったんですね。
「正しい」「真面目」「正義」「常識」って何でしょうか?
これらの言葉を使って、自分の価値観を押し付けたり、正当化しているということはないでしょうか。
自分は真面目に生きている。
自分はちゃんとやっている。
誰にも迷惑なんてかけていない。
でもあの人はやっていない。(と、事実とは別に勝手に思い込んでいるだけなのですが…)
あの人は周りに迷惑をかけている。(…自分も周りにお世話になっていない?)
だから、憎い。
あんな人たちには、罰が下るべきだ。
いつの間にか、そんな風に考えてしまっている自分が、確かにいるのです。
自分が正しい、あの人は正しくない、だからあの人の権利は尊重されるべきではない。
そう考えている自分が、とても怖くなりました。
「ほな、どないせぇゆうね」と。
そういう気持ちになったら、「うーむ」と考えるしかないなぁと。
カッときたら、吐き出す前に「いや、ちょっと待てよ」と考える。
何か言いたくなったら、「ちょっとひと呼吸」と考える。
「ほな、どないせぇゆうね」と言いたくなったら、「じゃぁどうしようかな」と考えてみる。
私たちの頭の中って、自分が思っている以上にアイデアが詰まっているものです。
インターネットの中にも確かにたくさんのアイデアがありますが、私たち一人ひとりだって負けていないですよ。
考えてみれば、「あぁ、こんなんどや!?」とアイデアが湧いてくる。
アイデアが湧くと、違う世界が見えてくる。
アイデアが湧くとワクワクしたり、「やってみようかな!」とチャレンジする心が生まれたり…
何より「希望」を感じますよね。
希望を持つと、なぜだか分かりませんが、私たちは他人に対して優しく親切になれたりするのですから不思議です。
無理に笑う必要はない。
無理に「楽しい~!」と自分を偽る必要もない。
ただ、どんなときも「考える」ことだけは忘れたらあかんなぁと、そう自分に言い聞かせる私です。
考える先には必ず、希望があるからです。
「Always look on the bright side of life」です。
希望こそが、私たちの強い味方なのです。
今週もありがとうございました!