園だより

2024.01.11

子どもたちに伝えたいこと

年明けから災害が続き、今もつらい思いをしながら生活している方々がいらっしゃいます。
一方、こういった緊急事態の中にあっても、人を傷つけ、憎しみの中に身を置かずにはいられない方もいらっしゃるようです。

テレビや新聞、インターネット等から聞こえてくるニュースや話題の中には、「苦しみと悲しみの中で大変な思いをしている方があるこんな時に、一体何をしているのか…」と呆れてしまうような内容のものも数多くあります。

皆さんは、根拠もなく責められたり、謂れのない誹謗中傷を受けたりした際、何を思い、どのように考え、どんな風に心を動かしますか?

溢れる怒りに身を任せますか?
自分が受けた以上の苦しみを与えたいと、仕返しを考えますか?
それとも、可哀相な人だ、貧しい心を持った人だと、同情しますか?
それとも、何も考えず、ただ受け流し、無かったことにしますか?

どれも、人の感情としては自然な動きです。
でも、こういった動きは、大なり小なり、心に苦しみを残します。
腑に落ちないと言いますか、心にモヤモヤとしたものを残すような気がするのです。
それが苦しい。
チクチクするのです。

心を傷つけられたとき、仮に、その仕返しとして相手を傷つけたとしても、それで自分の傷が治るわけではありません。
でも、せめて相手に一矢報いたわけですから、心はすっきりする…かと言うとそうではなく、私たちは、誰かを傷つけると、自分の心も傷つくのです。
だから、「相手を大切にする」と「自分を大切にする」はイコールなのです。

幼稚園での生活を通して、これからより広い世界へと羽ばたいていく子どもたちへ伝えたいことは、「我が身に起きるすべてのことを、我が人生の糧とせよ」ということです。
自分にとって都合の良いことも、良くないことも、です。

誰かに傷つけられたと感じたとき、「自分は誰かを傷つけてはいまいか。今、自分が味わっている苦しみを、誰かに与えてはいまいか」と我が身を振り返ってみると、そこには大きな気づきがある。
人を傷つけずにはいられない自分を、それでも支えて、見守ってくれている存在があることに気づく。
そして、周りに支えられている、助けられている、お世話になっている、そういう自分が見えてくる。
そして、申し訳ない、恥ずかしいという心(ごめんなさい)と、感謝の心(ありがとう)が湧き起こってくる。

これは大きな学びです。
人生における、お金やモノよりも大切な財産です。
そして、フッと、心に何か温かいものが生まれ、怒りや苦しみに支配されそうになる私を救ってくれるのです。
苦しみから解放されると、希望が湧いてくる。
希望が湧いてくると、体中に生きる力が漲ってくる。

今は、高田本山の報恩講さん(お七夜さん)の時期です。
親鸞さまのご命日に手を合わせるご縁をいただき、どうかこの子たち一人ひとりが、一日一日を豊かに幸せに生きてほしいと願うばかりです。

子どもたちと、みんなで一緒に手を合わせて。
なもあみだぶつ。

追伸
「願う」ことはできるが、「願われている」ことを素直に受け取るのは難しいものですね。
そうです。
私もまた、願われている一人なんですよね。
豊かに、幸せに生きたいです。
人を責めるのではなく、仕返しを考えるのではなく、我が身に起きるすべてのことを我が人生の糧とし、生きていきたいと思います。
ごめんなさい。
そして、ありがとう。

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