園だより
2024.04.10
急がば回れ
ことわざ「急がば回れ」が好きです。
この言葉の意味や解釈はいろいろあるかと思いますが、私は「急がば回る」ことこそが逆に最短距離だと解釈しています。
それはある意味では、「自分の欲求を抑えて、相手のことを優先して考える」ことでもあるかと思っています。
例えば、欲しいものが目の前にあって。
絶対に自分が獲得したい!と、人を押しのけてでも欲しいものに手を伸ばす。
そういった方法で手に入れて、それは本当に幸せなことですか?と。
欲しいものを手に入れたいのは、手に入れることが目的なのではなく、手に入れることで心が満たされる、幸せな気持ちになる、そのことを望んでいるはずなのですが。
自分のことだけを考えて、誰にも譲らずに自分だけのものにしようとする。
それは本当に、心が満たされることなのか?と。
そのときに「今は手に入れない」「他の人に譲る」という選択ができたら。
それは一見、目的から遠ざかるようにも思えますが、心満たされることが目的ならば最短距離なのですよ、と。
そんな風に解釈しています。
長い前置きですが(笑)
「子どもが育つ」ということについて、です。
様々な教育方針がありますので、これが正解だとか違うとか、そういったことが言いたいのではありません。
ただ、改めて「子どもの声(心)を聞く」「じっくり待つ」ということが、何よりも大切なことではないかと。
乳幼児期は、子どもが社会と出会う最初期です。
この時期に、周りの大人や社会といかに信頼関係を築いていくのか。
「何ができるのか」によってではなく、その存在そのものが受け止め、受け入れられ、「私はここにいてもいい存在なのだ」と安心できるということ。
その土台さえ築かれれば、その後はいくらでも経験や学びを積み重ねることができ、生涯に渡り揺るがない力となるのだと思うのです。
そしてそれは、土台の形成は、乳幼児期がベストである。
そう考えています。
基礎さえしっかりしていれば、家は何度でも建て直すことができます。
しかし基礎が手抜き工事であれば、その上にどんなに立派な家を建てたとしても…。
人間も同じです。
ビフォーアフターばかりに目を向け「何ができるようになったのか」ということにばかり価値を置いてしまうと、肝心の基礎が手抜き工事になるということです。
ですから、子どもの心に耳を傾け、受け止め、受け入れる、じっくり待つ。
これは絶対に、端折ってはいけない。
むしろこだわりを持って、人生の基礎、大人や社会との信頼関係が育まれるのをじっくりと待つ。
ですから、子育ても幼児教育も「急がば回れ」の精神を大切にしたいと思うのです。
と言うのは簡単ですが、そうはうまくいかないのが我々人間でして(汗)
ただ「急がば回れ」というキーワードを意識の片隅に置いておくだけでも、ちょっと立ち止まれる瞬間があるのかな。
そんな風に考えています。