園だより

2024.07.04

みんなちがってみんないい

「みんなちがってみんないい」
ステキな言葉ですが、
これはあくまで仏さまの目線であって、
人間が言う場合は、少しニュアンスが変わります。

それはどういうことかと言うと、
例えば、
あの人が言ったらどう?
あの人は?
テレビで見た、事件の犯人が言ったら?
大人が言ったら?
子どもが言ったら?
想像してみると、言う人によってそれぞれ伝わるニュアンスが変わってきませんか?

あの人が言うと真実味があるなぁとか、
あの人が言うと何だか嘘っぽいなぁとか、
あなたに言われたくないよとか、
伝わるニュアンスはいろいろですよね。

「みんなちがってみんないい」
これはつまり、世の中は(人間が求めるところの)「平等」ではないよ、ということだと思います。
人は一人ひとり違うのです。
それぞれができること、できないことは、同じではない。
あの人のできることが、私にとってはできないこと。
私のできることが、あの人にとってはできないこと。
すべての人に同じことを求めるのは、最初から不可能なことなのです。
そうであるにもかかわらず、人間はなぜか、他人に「普通であること」を求め、自分自身にも「普通であること」を求めます。
「隣の人と同じであること」「みんなと同じことができること」に価値を置くのです。
だから、苦しむのです。
不可能なことを求めるから、苦しい思いをするのです。
地球上にこれだけ多くの人間がいるのに、たった一本の線を引いて「君はあっち」「ぼくはこっち」と区別するだなんて、そこにどれだけの意味があるというのでしょうか。
まったく、ナンセンスでしょう。

仏さまは、言葉そのままに「みんなちがってみんないい」んです。
もし仏さまにも「普通」があるのだとすれば、「一人ひとり違うのが普通ですよ」と言うかも知れませんね。
「一人ひとり、できることとできないことがあるのが普通ですよ」と言うでしょう。
そして、できるできないにかかわらず「すべてのいのちが大切」「価値の高い低いなんてない」と言うでしょうね。

子どもも大人も、自分にできることで誰かを助け、できないことはみんなで助け合う。
そして、お互いにここで出会ったことを喜び合う。
そういう世界が「みんなちがってみんないい」ではないでしょうか。

6月16日に開催された真宗高田派仏教保育講座での講義を受けて、そんなことを思いました。

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