園だより
2021.04.17
思いで話
私(園長)は幼児期、年長さんの7月まで泣いていました。
引っ越しで環境が変わったなどいろいろと要素はあったものの、とにかくお母さん以外は一切安心できなかったのです。
お母さんにベッタリな、私でございました。
それが突然、本当にある日突然のこと、泣かなくなりました。
その日以来、人前で泣いたことは、たったの一度もありません。
(いや、一度くらいはあったかな…)
幼児期の記憶は薄いのに、泣かなくなった日のことは今でも鮮明に覚えているんですね。
その日、お母さんとバイバイするときに「あっ、ぼくもう大丈夫だ」と思ったことも、先生に「ぼくもう大丈夫だよ。もう泣かない」と宣言したことも、昨日のことのようにはっきりと覚えています。
忘れられないのは、きっとその日に大きな自信と達成感を得たからなんだと思います。
両親は、毎日どんな思いで私を送り出していたのかな。
時が過ぎて、自分が親になって。
我が子を園に送り出した最初の2週間、本当に苦しかった。
大泣きし、手を伸ばし助けを求める我が子を園に置き去りにするようで、罪悪感でいっぱいになって。
夜、「あしたいきたくない」と言われた時のドキッ・ギクッ、どうしよう…という不安。
朝、「いきたくない」と大泣きされた時の「今日はお休みさせようかな、でも行かせないといけないかな…」という葛藤。
先生との関係、お友だちとの関係、園で楽しく過ごせているのかな、お友だちにいじめられていないかな、寂しい思いしていないかな…
園生活が見えないから、不安と憶測が積み重なる日々でした。
保護者の皆さんには「サッと預けて・サッと帰る」ことをお願いしている私ですが、
我が子のときは帰れず、その場からなかなか動けず、園の先生方に大変なご苦労をお掛けしたことがあったんです。
我が子が登園拒否し(実際には私が行かせることができなかったのですが)、園の先生方が我が子のために時間を作ってくださり、我が子のために泣いてくださり…そんなこともありました。
お世話になった園の先生方には、とにかく頭の上がらない私です。
その後、幼稚園に勤め、今度は保護者の皆さんからお預かりした後の子どもたちの様子を見る立場となり、大泣きしながらも自分の力で歩み出す子どもたちの力強さを知ることができました。
卒園のときの、子どもたち一人ひとりの立派な背中。
入園間もない時にはあんなに大泣きしていたのに…いつの間にか、こんなに立派になって。
今、不安な保護者の方に、「いつか必ず」と先のことを伝えてもその不安が解消されるワケではないかも知れませんが
それでも、
「子どもたちはきっと大丈夫、心配ないよ」
と伝えたいです。
私たち親が思っているよりもずっとずっと、子どもは強い。
そして、今の経験が、
生涯に渡って子どもたちの支えとなるはずです。
もちろん、子どもを愛し、我が子のために悩んだり、涙を流したり、不安になったり…
その親心が何よりも、子どもたちにとって生涯に渡る「お守り」となります。
だから、お互いに精一杯、子どものことで悩みましょうね。
でも決して忘れてはならないことは、「子どもを信じる」ということ。
私が、高田幼稚園の子どもたちから学んだことです。
来週も、泣いて笑って怒ってケンカして…そんな元気いっぱいの子どもたちとの時間を、楽しく過ごしていきたいと思います。
子どもたち一人ひとりの「今」を、全力で受け止めていきたいと思います。